稗粒腫の原因は?気になる白いブツブツの治し方と予防策

稗粒腫(はいりゅうしゅ)は、顔や目の周りなど、比較的柔らかい皮膚によく見られる小さな白いブツブツです。「目の下に白いポツポツがあるけれど、これって何?」「どうして急にできたんだろう?」と気になっている方も多いかもしれません。この稗粒腫は、皮膚の表面近くにできた小さな袋状の構造物に、皮膚の構成成分であるケラチンが溜まることで発生します。痛みやかゆみを伴うことは少なく、健康上の問題を引き起こすことはほとんどありませんが、見た目が気になるという方もいらっしゃるでしょう。この記事では、稗粒腫ができる主な原因から、できやすい人の特徴、自然治癒の可能性、そして皮膚科での治療法やご自宅での予防策まで、稗粒腫について詳しく解説していきます。気になる稗粒腫について正しく理解し、適切な対処法を見つけるための一助となれば幸いです。

稗粒腫とは?症状と特徴

稗粒腫(はいりゅうしゅ)は、皮膚の表面に現れる1~2mm程度の小さな白い、またはやや黄色みがかった硬いブツブツです。医学的には「Milia(ミリア)」とも呼ばれます。通常、複数個がまとまってできることが多く、特にまぶたや目の下、頬、額などの顔によく見られますが、首や体の他の部位にできることもあります。

稗粒腫に触れてみると、表面がなめらかで少し硬さを感じます。痛みやかゆみなどの自覚症状はほとんどなく、炎症を起こすことも稀です。ただし、まれに衣服の摩擦などが原因で炎症を起こすこともあります。

稗粒腫は、毛穴の奥にある毛包(もうほう)や、汗を作る汗腺(かんせん)の導管が未発達な状態や、何らかの原因で閉塞し、その中に皮膚の角質成分であるケラチンが溜まることで形成されると考えられています。

種類としては、特に原因となる疾患がなく自然に発生する「原発性稗粒腫」と、やけどや傷、水疱症などの後に皮膚が修復される過程でできる「続発性稗粒腫」があります。一般的に「稗粒腫」として認識されているのは、この原発性稗粒腫であることが多いです。

見た目がニキビやイボ、老人性ゆうぜい(脂漏性角化症)など、他の皮膚疾患と似ているため、自己判断せずに皮膚科医に相談することが大切です。

稗粒腫の主な原因

稗粒腫ができる主な原因は、皮膚の構成成分である「ケラチン」が皮膚の表面近くに閉じ込められてしまうことです。このケラチンの蓄積には、皮膚のターンオーバー(新陳代謝)の乱れや、その他の様々な要因が関わっています。

なぜできる?ケラチンの蓄積

皮膚は常に新しい細胞へと生まれ変わっており、これをターンオーバーと呼びます。皮膚の最も外側にある表皮は、一番内側の基底層で新しい細胞が作られ、それが徐々に表面に押し上げられていき、最終的に角質細胞となって剥がれ落ちます。この一連のサイクルがスムーズに行われることで、健康な肌は保たれています。

しかし、何らかの原因でこのターンオーバーが乱れると、本来は剥がれ落ちるべき古い角質(ケラチン)がうまく排出されず、皮膚の表面近くに残ってしまいます。

稗粒腫の場合、毛穴や汗腺の出口、あるいは皮膚の細胞が未熟な段階で、このケラチンが皮膚の内部、特に真皮層のすぐ上にできる小さな袋状の構造物の中に溜め込まれてしまうと考えられています。この袋が少しずつ大きくなるにつれて、皮膚表面に白い小さな粒として見えるようになるのが稗粒腫の正体です。

ターンオーバーの乱れ

皮膚のターンオーバーの周期は、健康な成人では約28日と言われていますが、この周期は様々な要因によって容易に乱れます。ターンオーバーが遅延したり、不均一になったりすると、古い角質が肌に残りやすくなり、稗粒腫の発生につながることがあります。

ターンオーバーを乱す主な原因としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 加齢: 年齢を重ねるとともに、皮膚の細胞分裂のスピードが遅くなり、ターンオーバーの周期は長くなる傾向があります。これにより、古い角質が自然に剥がれ落ちにくくなります。
  • 紫外線: 紫外線は皮膚の細胞にダメージを与え、ターンオーバーのサイクルを乱す大きな要因となります。特に無防備な紫外線 exposure は、皮膚のバリア機能を低下させ、角質の正常な排出を妨げることがあります。
  • 乾燥: 肌が乾燥すると、皮膚のバリア機能が低下し、ターンオーバーのリズムが崩れやすくなります。乾燥によって角質が硬くなり、毛穴を詰まらせる原因にもなり得ます。
  • 間違ったスキンケア: 必要以上の洗顔や強いクレンジング、肌に合わない化粧品の使用など、肌に負担をかけるスキンケアは、皮膚のバリア機能を傷つけ、ターンオーバーの乱れを引き起こす可能性があります。
  • 摩擦: タオルで顔をゴシゴシ擦る、目を強くこする、硬いファンデーションブラシを使うなど、日常的な摩擦も肌に刺激を与え、ターンオーバーを乱す要因となります。
  • 睡眠不足やストレス: 全身の健康状態は皮膚にも影響します。睡眠不足や過度のストレスはホルモンバランスや自律神経を乱し、皮膚のターンオーバーを含む体の様々な機能に悪影響を及ぼすことがあります。
  • 栄養バランスの偏り: 皮膚の健康を保つためには、ビタミンやミネラルなどの栄養素が不可欠です。偏った食生活は、健康な皮膚細胞の生成を妨げ、ターンオーバーの乱れにつながることがあります。

これらの要因が複合的に作用することで、皮膚のターンオーバーが正常に行われなくなり、ケラチンが皮膚内に溜まりやすくなって稗粒腫が発生しやすくなると考えられています。

その他の原因(紫外線、摩擦など)

上記のターンオーバーの乱れを引き起こす要因に加え、特定の状況下で発生する「続発性稗粒腫」の原因も存在します。

  • 紫外線ダメージ: 慢性的な紫外線 exposure は皮膚の細胞を傷つけ、特に表皮の構造を変化させることが知られています。これにより、ケラチンの排出経路が異常をきたし、稗粒腫が発生しやすくなります。長年紫外線を浴び続けてきた方に多く見られる傾向があります。
  • 摩擦や物理的な刺激: 衣服やアクセサリーによる慢性的な摩擦、あるいは洗顔時やメイク時の物理的な刺激も、皮膚にごく微細なダメージを与え、続発性稗粒腫の原因となることがあります。特に皮膚の薄い目の周りなどは影響を受けやすい部位です。
  • やけどや傷跡: 皮膚がやけどや怪我を負った後、あるいは水疱(すいほう)ができるような皮膚疾患(例:表皮水疱症)の治癒過程で、皮膚が再構築される際にケラチンが皮膚内に閉じ込められてしまうことがあります。これが続発性稗粒腫として現れます。これらの稗粒腫は、傷や病変があった場所に一致して発生することが多いのが特徴です。
  • 皮膚疾患: まれに、遺伝性の皮膚疾患(例:遺伝性出血性末梢血管拡張症など)に関連して多数の稗粒腫が発生することが報告されていますが、これは非常に特殊なケースです。

このように、稗粒腫の発生には、皮膚そのものの新陳代謝の乱れだけでなく、外部からの刺激や皮膚の損傷も深く関わっていることがわかります。

稗粒腫ができやすい人・部位

稗粒腫は誰にでもできる可能性のある皮膚の症状ですが、特定のタイプの人や体の部位にできやすい傾向があります。

どのような人にできやすい?

稗粒腫ができやすい人には、いくつかの特徴が見られます。

  • 女性: 男性よりも女性に多く見られる傾向があります。これはスキンケア習慣やメイクなどの影響も考えられますが、明確な理由はまだ完全には解明されていません。
  • 年齢層: 乳児期にも一時的に多数できることがありますが、自然に消えることが多いです。成人以降では、加齢によるターンオーバーの遅延が影響するため、比較的高齢の方にも見られやすいですが、若い世代にも発生します。
  • 乾燥肌・インナードライ肌: 肌のバリア機能が低下し、乾燥している肌は、ターンオーバーが乱れやすく、古い角質が溜まりやすくなるため、稗粒腫ができやすいと考えられています。特に、表面は乾燥しているのに内部は潤いが不足している「インナードライ肌」の方も注意が必要です。
  • 脂性肌: 一見関係なさそうですが、過剰な皮脂分泌が毛穴を詰まらせ、角質が正常に排出されるのを妨げる場合があります。また、脂性肌の方は洗浄力の強い洗顔料を使用しがちで、それが肌のバリア機能を壊し、かえって乾燥やターンオーバーの乱れを引き起こすこともあります。
  • 日常的に紫外線を浴びる機会が多い人: 紫外線は皮膚にダメージを与え、ターンオーバーを乱す大きな要因であるため、屋外での活動が多い人や、紫外線対策を怠っている人は稗粒腫ができやすい傾向があります。
  • 皮膚への摩擦が多い人: 頻繁に顔をこする癖がある人、硬いタオルや刺激の強いスキンケア用品を使用している人も、皮膚に微細なダメージを与え続け、稗粒腫の発生リスクを高める可能性があります。
  • 特定の疾患の既往がある人: 前述のように、やけどや特定の水疱症、または皮膚の損傷を伴う治療(例:皮膚の削磨術など)を受けたことがある人は、その部位に続発性稗粒腫ができるリスクがあります。

これらの特徴に当てはまるからといって必ず稗粒腫ができるわけではありませんが、発生しやすい体質や環境である可能性は高いと言えるでしょう。

顔や目の周りに多い理由

稗粒腫が特に顔、中でもまぶたや目の下、頬、額といった部位に多く見られるのには、いくつかの理由が考えられます。

  • 皮膚の薄さ: 顔の皮膚、特にまぶたや目の周りの皮膚は体の中でも非常に薄く、デリケートです。薄い皮膚は外部からの刺激(紫外線、摩擦など)の影響を受けやすく、ターンオーバーの乱れや微細な損傷が起こりやすいと考えられます。
  • 皮脂腺・汗腺の分布: 顔には皮脂腺や汗腺が多く分布しており、これらの構造物が稗粒腫の発生に関わっている可能性があるため、他の部位よりもできやすいと考えられます。
  • スキンケア・メイクの影響: 顔は日常的に洗顔、クレンジング、保湿、メイクなど、様々なスキンケアや化粧品の使用が行われる部位です。これらの過程での摩擦や、特定の成分への反応、あるいは毛穴を詰まらせやすい化粧品の使用などが、稗粒腫の発生に影響を与えている可能性も指摘されています。特に目の周りは、アイメイクのオフやアイクリームの塗布など、頻繁に触れる機会が多く、摩擦が生じやすい部位です。
  • 紫外線 exposure: 顔は体の中でも最も紫外線に晒されやすい部位の一つです。慢性的な紫外線ダメージの蓄積が、稗粒腫の発生を促進すると考えられています。

これらの要因が複合的に作用することで、顔、特に皮膚が薄く、日常的な刺激を受けやすい目の周りに稗粒腫が多く発生すると考えられます。

稗粒腫は自然に治る?

顔や目の周りにできた小さな白いブツブツ、稗粒腫。痛くもかゆくもないけれど、見た目が気になるし、いつか自然に消えてくれないかな、と期待している方もいるかもしれません。

結論から言うと、成人してからできた稗粒腫が自然に消えることは、非常に稀です。

乳児期に一時的に見られる稗粒腫(新生児稗粒腫)は、数週間から数ヶ月で自然に消えていくことが多いのですが、これは生理的なものであり、大人にできる稗粒腫とは性質が異なります。

大人の稗粒腫は、皮膚の内部にできた袋状の構造の中にケラチンが溜まったものであり、この袋が自然に開いて中のケラチンが排出されるという機序がほとんど期待できません。そのため、一度できてしまうと、多くの場合はそのままの状態か、時間をかけて少しずつ大きくなっていくことが多いです。

放置しても健康上の問題は通常ありませんが、増えたり大きくなったりして見た目がさらに気になるようになる可能性はあります。また、無理に自分で取ろうとすると、皮膚を傷つけたり、感染を起こしたり、跡が残ったりするリスクが高いため、推奨されません。

「自然に治るだろう」と期待して放置するよりも、もし見た目が気になるのであれば、皮膚科を受診して専門医に相談し、適切な治療を受けることを検討するのが良いでしょう。治療によって比較的簡単に、跡を残さずに除去することが可能です。

稗粒腫の治療・除去方法

稗粒腫は自然に治りにくい性質を持っていますが、皮膚科を受診すれば比較的簡単に除去することができます。治療方法は、稗粒腫の大きさや数、できた部位などによって異なりますが、主に物理的に内容物を排出する方法が用いられます。

皮膚科での治療(圧出法、レーザー)

皮膚科で行われる稗粒腫の治療法としては、主に「圧出法」と「レーザー治療」があります。

1. 圧出法(あっしゅつほう)

これは最も一般的で手軽に行われる方法です。

  • 手順:
    1. 治療部位を消毒します。
    2. 滅菌された医療用の針やメスなど、非常に鋭利な器具を用いて、稗粒腫の表面にごく小さな穴を開けます。
    3. 専用のコメドプッシャー(面ぽう圧出器)と呼ばれる器具や、ピンセットの先端などを使って、開けた穴から稗粒腫の内容物(溜まったケラチン)を押し出します。
    4. 内容物が全て出たことを確認し、再度消毒します。
  • 特徴:
    • 局所麻酔なしで行われることが多いですが、痛みに弱い方や多数の稗粒腫がある場合、またはデリケートな部位の場合は、麻酔テープを使用したり、ごく少量の局所麻酔注射を行うこともあります。
    • 処置時間は一つあたり数秒から数十秒と短時間で済みます。
    • ほとんどの場合、保険適用となります。
    • 処置後は、小さなかさぶたができたり、赤みが残ったりすることがありますが、数日から1週間程度で自然に治ります。跡はほとんど残りません。
    • 内容物を完全に押し出せれば、再発のリスクは比較的低いですが、同じ部位の別の場所に新しくできる可能性はあります。

2. レーザー治療

主に炭酸ガスレーザーなどが用いられます。

  • 手順:
    1. 治療部位を消毒します。
    2. 必要に応じて、局所麻酔を行います。
    3. 炭酸ガスレーザーを稗粒腫に照射します。レーザーの熱によって、稗粒腫の袋状構造ごと蒸散させたり、内容物を排出しやすくしたりします。
    4. 処置後は、小さな窪みや赤みができます。
  • 特徴:
    • 圧出法が難しい場合(非常に小さい、硬い、数が多いなど)や、より確実な除去を希望する場合に選択肢となります。
    • 保険適用外となることが多く、自費診療となるため費用は圧出法よりも高額になる傾向があります。
    • レーザーの種類や出力によって、熱感や痛みを伴うため、通常は局所麻酔が必要です。
    • 処置後は、小さな傷跡となり、完全に治るまでに1~2週間かかることがあります。治癒期間中は軟膏の塗布や保護テープの使用が必要になる場合があります。
    • 周囲組織へのダメージを最小限に抑えつつ除去できるのがメリットですが、機器が限られることや費用面で、圧出法が優先されることが多いです。

どちらの治療法を選択するかは、医師が稗粒腫の状態を診察した上で判断します。多くの場合、まずは保険適用の圧出法が提案されます。

自宅で取るのは危険?

「自分で針で刺して内容物を出せないかな?」「ピンセットでつまんでみようかな」など、ご自宅で稗粒腫を取ろうと考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ご自宅で稗粒腫を無理に取るのは、非常に危険であり絶対におすすめできません。

その理由は以下の通りです。

  • 感染のリスク: ご家庭にある針やピンセットは滅菌されていません。不潔な器具で皮膚に穴を開けたり内容物を押し出したりすると、そこから細菌が侵入し、化膿したり炎症を起こしたりする可能性が非常に高いです。炎症がひどくなると、痛みや腫れが増し、治療が長引く原因となります。
  • 傷跡が残るリスク: 皮膚の構造を理解せず、適切な器具を使わずに処置を試みると、皮膚を大きく傷つけてしまったり、不完全に内容物しか出せず、かえって色素沈着や陥没した傷跡(クレーター)が残ってしまうことがあります。特に顔は目立つ部位なので、一度できてしまった傷跡は修復が難しい場合もあります。
  • 内容物を完全に出せない: 稗粒腫は皮膚の内部にできた小さな袋状構造物です。表面に穴を開けるだけでは、内容物が完全に出しきれなかったり、袋自体が残ってしまったりすることが多く、再発の原因となります。専門医は、適切な器具と技術で、袋ごと、あるいは内容物をきれいに排出させます。
  • 悪化させる可能性: 無理な処置は皮膚に強い刺激を与え、炎症を悪化させたり、周囲に新たな稗粒腫ができやすくなったりする可能性があります。
  • 稗粒腫ではない可能性: ご自身で見ているブツブツが、実は稗粒腫ではなく、ニキビやイボ、脂腺増殖症など、他の皮膚疾患である可能性もあります。疾患によって適切な治療法が異なり、自己判断での処置は症状を悪化させるだけでなく、疾患の発見を遅らせる原因にもなり得ます。

これらの理由から、稗粒腫を自宅で無理に取ることは避け、必ず皮膚科を受診して専門医に相談するようにしましょう。専門医による適切な治療であれば、安全かつきれいに除去してもらうことができます。

どうやって治す?(治療法の総括)

稗粒腫を「治す」とは、できた稗粒腫を取り除くことを意味します。上記の通り、稗粒腫は基本的に自然に消えることはなく、ご自宅での自己処理は危険を伴います。

したがって、稗粒腫を安全かつ確実に除去するためには、皮膚科を受診して専門医に治療してもらうのが最も推奨される方法です。

皮膚科医は、まずそのブツブツが本当に稗粒腫であるか診断し、他の疾患との鑑別を行います。その上で、稗粒腫であると診断され、かつ患者さんが除去を希望する場合に、適切な治療法(主に圧出法やレーザー治療)を提案・実施します。

治療法 主な方法 保険適用 痛み 治癒期間 特徴
圧出法 針やメスで穴を開け、内容物を押し出す 基本的に〇 少ない(麻酔なしも可) 数日~1週間 最も一般的、手軽、安価。跡が残りにくい。
レーザー治療 炭酸ガスレーザーなどで焼灼または排出促進 基本的に✕ 伴う(麻酔が必要) 1~2週間 より確実な除去、多数の場合にも対応可能。自費診療で高額になる傾向。

ほとんどの場合、保険診療である圧出法で十分対応可能です。治療後の経過観察や再発防止のためのスキンケア指導なども含め、皮膚の専門家である医師に任せるのが最も安心で効果的な方法と言えます。

繰り返しになりますが、稗粒腫は医学的に放置しても問題ない良性の病変ですが、見た目が気になる場合は我慢せず、皮膚科を受診することをおすすめします。

稗粒腫の予防法

稗粒腫の発生原因には、肌のターンオーバーの乱れや外部刺激が深く関わっています。残念ながら、一度できてしまった稗粒腫を自然に消すのは難しいですが、日頃から適切なケアを行うことで、新しい稗粒腫ができるのを予防したり、数を増やさないようにしたりすることは可能です。

日常生活でできる予防策

稗粒腫を予防するためには、肌の健康を保つための基本的な生活習慣やケアが重要です。

  • 紫外線対策の徹底: 紫外線は皮膚の細胞にダメージを与え、ターンオーバーを乱す最大の原因の一つです。季節や天候に関わらず、日常的に日焼け止めを使用しましょう。顔だけでなく、首など稗粒腫ができやすい他の部位も忘れずに塗布します。帽子や日傘、サングラスなども併用すると、より効果的に紫外線をカットできます。特に皮膚の薄い目の周りは、デリケートな部分に対応した日焼け止めを選び、優しく丁寧に塗布することが大切です。
  • 肌への摩擦を避ける: 洗顔時やタオルで顔を拭く際は、ゴシゴシと強く擦るのではなく、たっぷりの泡で優しく洗ったり、柔らかいタオルで押さえるように水分を拭き取ったりしましょう。クレンジングの際も、肌に負担のかからないタイプを選び、短時間で済ませるように心がけます。メイク時も、ファンデーションブラシやパフなどで肌を強く擦りすぎないように注意が必要です。
  • 十分な睡眠とバランスの取れた食事: 全身の健康は肌の健康にも直結します。質の良い睡眠を十分に取り、ストレスを溜めないようにすることで、肌のターンオーバーを含む体の機能を正常に保つことができます。また、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどをバランス良く摂取し、肌の細胞が健康に生まれ変わるための栄養をしっかり摂りましょう。特にビタミンA、C、E、B群などは肌の健康維持に重要です。
  • 適度な運動: 運動は血行を促進し、全身の細胞に酸素や栄養を届けやすくします。肌の細胞にも良い影響を与え、ターンオーバーをサポートする可能性があります。

スキンケアのポイント

日々のスキンケアは、稗粒腫予防において非常に重要な役割を果たします。

  • 正しい洗顔: 汚れや余分な皮脂は肌トラブルの原因となりますが、洗いすぎも肌のバリア機能を損ないます。ぬるま湯を使用し、洗顔料をよく泡立てて、肌を擦らずに優しく洗います。すすぎ残しがないように、しっかりと洗い流しましょう。
  • 丁寧な保湿: 乾燥はターンオーバーを乱し、角質が硬くなる原因となります。洗顔後はすぐに化粧水で水分を補給し、乳液やクリームでしっかりと蓋をして保湿します。特に目の周りなど乾燥しやすい部位は、保湿効果の高いアイクリームなどを使用するのも良いでしょう。セラミドやヒアルロン酸、グリセリンなどの保湿成分が配合されたアイテムを選ぶと効果的です。
  • 適切な角質ケア: 過剰な角質は稗粒腫の原因となり得ますが、肌に負担のかかる強力なピーリングは逆効果です。肌の状態に合わせて、週に1~2回程度の gentle な角質ケアを取り入れることが予防につながる場合があります。AHA(フルーツ酸)やBHA(サリチル酸)などが配合された化粧品や、酵素洗顔料など、肌への刺激が少ないアイテムを選び、使用頻度や方法を守って使いましょう。ただし、肌が敏感な時や炎症がある時には避けてください。レチノール配合の化粧品も、肌のターンオーバーを促進する効果が期待できますが、使用にあたっては肌との相性を確認し、少量から始めるなど注意が必要です。
  • メイクアップ製品: 毛穴を詰まらせやすい油分の多いファンデーションや、クレンジングで落としにくい製品は、稗粒腫ができやすい方には負担となることがあります。ノンコメドジェニック処方(ニキビができにくいように配慮された製品)や、比較的落としやすいタイプのメイク製品を選ぶのも一つの方法です。

これらの予防策は、あくまで新しい稗粒腫ができるのを防ぐため、または数を増やさないためのものです。既にできてしまった稗粒腫をセルフケアで消すことは難しいため、その点はご理解ください。予防を継続することで、健やかな肌状態を保ち、稗粒腫ができにくい肌を目指しましょう。

稗粒腫と間違いやすい疾患

顔にできる小さな白いブツブツは稗粒腫だけではありません。見た目が似ているため、稗粒腫と間違えやすい他の皮膚疾患がいくつかあります。正しい診断を受けるためには、自己判断せずに皮膚科医に相談することが重要です。

ここでは、稗粒腫と間違いやすい代表的な疾患とその特徴をご紹介します。

疾患名 主な見た目・特徴 好発部位 稗粒腫との違い
汗管腫(かんかんしゅ) 1~5mm程度の肌色またはやや黄みがかった丘疹(盛り上がり)。柔らかい感触。多発することが多い。 目の下、まぶた、額、首 稗粒腫よりやや大きく、肌色に近いことが多い。感触が柔らかく、内容物を押し出すことはできない。汗腺の組織が増殖してできる良性の腫瘍で、原因が異なる。
脂腺増殖症(しせんぞうしょくしょう) 1~数mmの黄色みを帯びた盛り上がり。中心に臍のように窪みが見られることもある。加齢とともに増加傾向。 額、頬、鼻などの脂腺が多い部位 黄色みが強く、中心に窪みがあることが多い。主に皮脂腺が増殖してできる。稗粒腫のように内容物が詰まっているわけではない。
軟性線維腫(なんせいせんいしゅ)(スキンタグ) 数mm~数cmの肌色または茶色の柔らかい突起。首や脇、まぶたなどにできることが多い。 首、脇、まぶた、鼠径部 茎(根元)があってぶら下がっているような形をしていることが多い。柔らかく、稗粒腫のような硬さはない。線維芽細胞が増殖してできる良性の腫瘍。
尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)(いぼ) ヒトパピローマウイルス感染によってできる、表面がザラザラしたり硬かったりする盛り上がり。多発することも。 手足に多いが、顔や首にもできる 表面がザラザラしていることが多い(稗粒腫はなめらか)。ウイルス感染が原因で、放置すると大きくなったり増えたり、他人にうつる可能性もある。
顔面播種状粟粒性狼瘡(がんめんはしゅじょうぞくりゅうせいろうそう) 顔、特に目の周りに多発する、赤みを帯びた硬い丘疹。炎症を伴うこともある。 顔、特に目の周り 赤みを帯びており、触ると硬く、炎症を伴うことがある。原因不明の炎症性疾患と考えられており、治療法も異なる。
閉鎖面ぽう(へいさめんぽう)(白ニキビ) 毛穴が詰まって皮脂が溜まったもの。白い小さな盛り上がりとして見える。炎症を起こすと赤く腫れる(赤ニキビになる)。 顔全体(特に皮脂腺が多い部位) 毛穴に一致してでき、圧迫すると内容物(皮脂や角栓)が出てくる。炎症を起こす可能性がある。思春期以降に多く見られる。

これらの疾患は、見た目が似ているため、専門知識のない方が自己判断するのは難しいです。例えば、汗管腫は稗粒腫と同様に目の下にできやすく白いブツブツに見えることがありますが、原因や組織学的構造が全く異なり、治療法も異なる場合があります。尋常性疣贅(いぼ)も顔にできることがあり、見た目が似ていてもウイルス感染が原因であり、液体窒素による冷凍療法などで治療が必要です。

自己判断で稗粒腫だと思って間違ったケアをしたり、無理に取ろうとしたりすると、かえって症状を悪化させたり、他の人にうつしてしまったり(いぼの場合)するリスクがあります。顔に気になるブツブツを見つけたら、まずは皮膚科を受診し、正確な診断を受けるようにしましょう。専門医であれば、視診や触診、必要に応じてダーモスコピーなどの検査を用いて、どの疾患であるかを正確に判断し、最も適切な治療法を提案してくれます。

まとめ|気になる稗粒腫は皮膚科へ相談

顔や目の周りにできる小さな白いブツブツである稗粒腫は、皮膚の構成成分であるケラチンが皮膚の表面近くに溜まることで発生します。主な原因としては、加齢や紫外線 exposure、乾燥、不適切なスキンケアなどによる皮膚のターンオーバーの乱れや、皮膚への物理的な刺激、過去の皮膚損傷などが挙げられます。女性にできやすく、皮膚の薄い顔、特に目の周りに多く見られる傾向があります。

稗粒腫は良性の病変であり、通常は痛みやかゆみを伴わず、健康上の問題を引き起こすことはありません。しかし、一度できると成人では自然に消えることは稀で、多くの場合そのまま残るか、少しずつ大きくなります。見た目が気になる場合は、皮膚科での治療によって安全かつ比較的簡単に除去することが可能です。

皮膚科では、主に医療用の針やメスで小さな穴を開けて内容物を押し出す「圧出法」や、炭酸ガスレーザーを用いる「レーザー治療」が行われます。特に圧出法は一般的で保険適用となることが多く、短時間で済み、跡も残りにくい方法です。

ご自宅で稗粒腫を無理に取ろうとすると、感染や傷跡のリスクが非常に高いため、絶対に行わないでください。また、顔にできる白いブツブツは稗粒腫以外にも、汗管腫、脂腺増殖症、軟性線維腫(スキンタグ)、尋常性疣贅(いぼ)、閉鎖面ぽう(白ニキビ)など、見た目が似ていても原因や治療法が異なる様々な皮膚疾患の可能性があります。自己判断せずに、必ず皮膚科を受診して専門医の診断を受けるようにしましょう。専門医であれば、視診や触診、必要に応じてダーモスコピーなどの検査を用いて、どの疾患であるかを正確に判断し、最も適切な治療法を提案してくれます。

新しい稗粒腫ができるのを予防するためには、日頃からの適切なスキンケアや生活習慣が重要です。紫外線対策を徹底し、肌への摩擦を避け、正しい洗顔と保湿を心がけ、肌の状態に合わせた gentle な角質ケアを取り入れることが有効です。十分な睡眠やバランスの取れた食事など、全身の健康維持も肌のターンオーバーを正常に保つために大切です。

もし顔や体の気になる部位に白いブツブツを見つけ、「これって稗粒腫かな?」「どうしたらいいんだろう?」と悩んだら、まずは皮膚科にご相談ください。専門医が正確な診断を行い、あなたに合った治療法やケア方法についてアドバイスしてくれます。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の症状に対する診断や治療を保証するものではありません。皮膚のトラブルについては、必ず専門の医療機関で相談してください。

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