歯並びが気になり、マウスピース矯正を検討している方も多いでしょう。しかし、マウスピース矯正は誰にでも適している治療法ではありません。マウスピース矯正をおすすめしない人もいます。
本記事では、マウスピース矯正をおすすめしない人とその理由について詳しく解説しています。
この記事を読むことで、マウスピース矯正がご自身に適した治療法かどうか判断できるようになるため、マウスピース矯正を検討中の方はぜひご参考にしてください。
マウスピース矯正をおすすめしない理由とは?

マウスピース矯正は誰にでも適している治療法ではありません。症例やライフスタイルによっては良好な治療結果を得られないことがあります。
マウスピース矯正をおすすめしない主な理由は以下の3つです。
- 付け忘れる可能性がある
- 歯並びが悪すぎるとワイヤー矯正しかできない
- 治療期間が延びる場合がある
それぞれの理由を詳しく解説します。
付け忘れる可能性がある
マウスピース矯正は、取り外しが可能なマウスピースを装着して矯正力を加える治療法です。そのため、装置が固定式であるワイヤー矯正とは異なり、マウスピースの付け忘れが発生する可能性があります。
マウスピース矯正は、目安として1日20〜22時間以上マウスピースを装着する必要がありますが、歯磨きの時と飲食の時は装置を外さなければなりません。
そのため、1日の中で付けたり外したりする工程が生じるのです。歯磨き後にすぐに装着する癖がついていないと、マウスピースを付け忘れて治療を進められないことになります。
「マウスピースの取り外しが面倒」「装着時間を自分で管理する自信がない」という方には、マウスピース矯正はおすすめできません。
歯並びが悪すぎるとワイヤー矯正しかできない
ワイヤー矯正は昔から用いられている矯正治療法であり、治療実績が豊富で幅広い症例に対応できます。一方で、マウスピース矯正はワイヤー矯正よりも適応症例が限られています。
治療技術の向上から、近年はマウスピース矯正も適応症例の幅が広がりつつありますが、それでも歯を大きく移動させる症例はマウスピース矯正では対応が難しく、ワイヤー矯正での治療になることも少なくありません。
特に重度の歯列不正の場合、抜歯が必要なケースが多いといえます。抜歯をすると、抜歯してできたスペース分、歯を動かす必要があるのです。
マウスピース矯正で歯を大きく移動させるのは難しいため、抜歯を伴うような症例はマウスピース矯正で治療ができないことがあります。
治療期間が延びる場合がある
マウスピース矯正はマウスピースの装着時間が短いと、計画通りに歯を動かせません。
1日に20〜22時間以上マウスピースを装着することを前提として治療計画が立てられているため、装着時間を守らなければ適切な矯正力を加えられないのです。
マウスピースの形状と実際の歯の動きに誤差が生じると、治療が遅れるだけでなく、マウスピースがはまらなくなってしまうケースもあります。
治療期間が長引けば、通院回数も増えて調整料などの追加費用も発生する可能性があります。また、マウスピースがはまらなくなってしまうと再度作製しなければならないこともあるのです。
その場合も追加費用が発生したり、矯正治療が一旦中断したりと予想外の結果につながることもあります。
マウスピース矯正のメリットは?

マウスピース矯正が適していない方もいらっしゃいますが、メリットもたくさんある矯正治療法です。マウスピース矯正のメリット・デメリットを考慮しながらご自身に適しているか検討するとよいでしょう。
マウスピース矯正の主なメリットは以下の5つです。
- ワイヤー矯正よりも費用が抑えられる
- 痛みが少ない
- マウスピースは透明なので目立ちづらい
- 通院回数が少ない
- ワイヤー矯正よりも虫歯のリスクが減る
それぞれのメリットを詳しく解説します。
ワイヤー矯正よりも費用が抑えられる
全体矯正の場合、ワイヤー矯正の費用相場は70〜170万円程度であるのに対し、マウスピース矯正の費用相場は60〜100万円程度です。マウスピース矯正はワイヤー矯正よりも費用を抑えた治療が可能です。
ただし、マウスピース矯正は数多くのブランドがあります。インビザラインやクリアライン、アソアライナー、キレイラインなどブランドによって特徴や費用相場が異なります。
マウスピース矯正を検討されている場合は、ブランドの費用相場も確認しておくとよいでしょう。
【マウスピース矯正のブランド別費用相場】
特徴 | 費用相場 | |
インビザライン | 症例によって治療プランが設定されている。軽度な歯列不正であれば安い金額で治療が可能。 | (全体矯正の場合)80〜100万円程度 |
クリアライン | 前歯12本に特化した矯正。 | 10〜40万円程度 |
アソアライナー | 軽度〜中度の歯列不正に対応している。 | 10〜70万円程度 |
キレイライン | 前歯12本に特化した矯正。 | 19.8〜46.2万円程度 |
エミニナル矯正 | 症例によって、ライトプラン・ミドルプラン・フルプランの3つの料金プランに分けられている。 | 33〜80万円程度 |
痛みが少ない
マウスピース矯正はワイヤー矯正より痛みが少ない治療法といえます。ワイヤー矯正のほうが調整時に強い矯正力が加わりやすいからです。
マウスピース矯正もワイヤー矯正も1ヶ月に1mm程度歯を動かします。
マウスピース矯正の場合は、1週間〜10日の間隔で新しいマウスピースに交換するため、マウスピース1枚で0.25mm程度歯を動かす計算になります。マウスピースを交換する度に少しずつ矯正力を加えるため、強い痛みを感じにくい特徴があるのです。
一方で、ワイヤー矯正の場合は1ヶ月に一度の間隔でワイヤーの調整を行い、矯正力を加えます。そのため、調整直後は強い痛みを感じやすく、時間とともに痛みが和らぐ傾向にあります。
マウスピース矯正の場合も矯正力を加えて歯を動かすため、全く痛みがないということはありません。しかし、ワイヤー矯正とは違いゆっくりと少しずつ歯を動かすため痛みが軽減されるといえるでしょう。
また、ワイヤー矯正の場合は装置が唇や舌などに当たり、傷ができる可能性もあります。マウスピース矯正の場合は装置が当たることによって発生する痛みはほとんどありません。
マウスピースは透明なので目立ちづらい
マウスピース矯正は透明のマウスピースを使用するため、矯正装置が目立ちにくいという点も大きなメリットです。
矯正装置の見た目が気になり、マウスピース矯正を希望される方は少なくありません。マウスピース矯正の場合は矯正治療中の見た目を気にすることなく治療に取り組めます。
通院回数が少ない
マウスピース矯正はワイヤー矯正よりも通院回数が少なくて済むため、忙しい方でも取り組みやすい治療法です。
ワイヤー矯正は治療経過の確認、装置の調整を行うため1ヶ月に1度の間隔で通院が必要です。
マウスピース矯正の場合は、最初は正しく装着できているか確認するため1ヶ月に1回の頻度で通院が必要ですが、慣れてきたら2〜3ヶ月に1回の頻度の通院になります。
中には、通院しなくてもよいマウスピース矯正のブランドも存在します。症例や治療の進み具合、歯科医院の治療方針によっても異なりますが、ワイヤー矯正より通院回数が少なくて済むことが多いでしょう。
ワイヤー矯正よりも虫歯のリスクが減る
マウスピース矯正はワイヤー矯正よりも虫歯の発生リスクが低いといえます。マウスピース矯正は装置が取り外せるため口腔ケアがしやすいためです。
ワイヤー矯正の場合は、歯に矯正装置が固定されているため、装置周りの汚れを歯磨きで取り除くのはとても難しくなります。装置周りは食べかすなどの汚れも付着しやすいため、虫歯を予防するためにより丁寧な口腔ケアが必要となるでしょう。
ただし、マウスピース矯正であれば虫歯にならないというわけではありません。マウスピース矯正の場合も、口腔ケアを怠ると虫歯や歯周病になる可能性はありますので、歯磨きを徹底することが大切です。
マウスピース矯正で気をつけることは?

マウスピース矯正はメリットがたくさんありますが、良好な治療結果を得るために、気をつけておきたい点もいくつかあります。
マウスピース矯正を始めるにあたって注意しておきたい点をご紹介します。
治療経験豊富な医師を選ぶ
「マウスピース矯正はどの歯科医院で治療しても結果は同じ」と思われがちですが、そんなことはありません。診断や治療計画によって、仕上がりに大きく差が出る治療です。そのため、歯科医院選びは非常に重要といえるでしょう。
また、マウスピース矯正はワイヤー矯正よりも多くの歯科医院で導入されています。矯正治療は専門性の高い治療ですが、マウスピース矯正の場合は矯正を専門としない歯科医師でも取り入れられるからです。
しかし、矯正の専門知識や技術が伴っていないと、急なトラブルに対応できないこともあります。そのため、マウスピース矯正を受けるのであれば矯正を専門とする治療実績が豊富な歯科医師を選ぶようにしてください。
エミニナル矯正のマウスピース矯正であれば、治療を担当するのは矯正を専門とする歯科医師のみと限られているため、不安に思うことなく治療を受けられるでしょう。
そして、いくら優秀な歯科医師のもとで治療を受けたとしても信頼関係が成り立っていなければ満足のいく治療は受けられません。
相談しやすい雰囲気か、寄り添った対応をしてくれるか、アフターフォローは整っているかなども確認しておくことが大切です。
マウスピースの着用時間を守る
マウスピース矯正はマウスピースを1日に20〜22時間以上装着する必要があります。この装着時間を守らなければ、順調に治療が進まないだけでなく、マウスピースがはまらなくなってしまう可能性もあります。
治療期間が長引いたり、マウスピースの再作製や修理が必要になったりと、スムーズに矯正治療を進められない原因となるため気をつけましょう。
また、治療期間が延びたり、マウスピースを作り直したりすることで追加費用が発生する可能性もあります。予想外の出費を減らすためにも、マウスピースの装着時間を守りましょう。
歯磨きやフロスを徹底する
マウスピース矯正はワイヤー矯正よりも虫歯になるリスクは低いですが、虫歯にならないわけではありません。お口のケアが不十分のままマウスピースを装着していると、細菌が繁殖して虫歯や歯周病に罹る可能性があります。
唾液には、虫歯や歯周病から守るため以下のような作用があります。
- 歯に付着した汚れを洗い流してくれる「自浄作用」
- 歯を修復してくれる「再石灰化作用」
- 酸性に傾いた口の中を中和してくれる「緩衝作用」
- 細菌の増殖を抑える「殺菌・抗菌作用」
これらの唾液の作用によって、口の中は虫歯や歯周病から守られています。
しかし、マウスピースを装着していると唾液がマウスピースの中まで行き届きにくく、これらの唾液効果を十分に期待できません。そのため、マウスピース装着時は、装着していない状態に比べると虫歯になりやすいということが分かります。
虫歯や歯周病にならないためにも、歯磨きを徹底し、きれいな状態にしてからマウスピースを装着することが大切です。
マウスピース矯正はこんな人におすすめ!

矯正治療を始めるにあたって、マウスピース矯正にするのか、ワイヤー矯正にするのか悩まれる方は多くいらっしゃいます。ここでは、マウスピース矯正が適している方の特徴を紹介します。
以下のような希望がある方は、ワイヤー矯正よりマウスピース矯正のほうが適しているでしょう。
矯正費用を抑えたい人
ワイヤー矯正の費用相場は70〜170万円程度であるのに対し、マウスピース矯正の費用相場は60〜100万円程度であるため費用を抑えた治療が可能です。
歯の表側に金属の矯正装置を接着する一般的なワイヤー矯正は70〜100万円程度で治療ができますが、装置が見えづらい裏側矯正やハーフリンガル矯正になると費用が高額になりやすいのです。
また、見た目に配慮した透明の矯正装置(クリアブラケット)や白いワイヤーを選択する場合も追加費用が発生することが多いでしょう。
一方で、マウスピース矯正の場合は元々が見た目に配慮された治療法です。ブランドによって費用相場は異なるものの、装置の見た目をよくするために追加費用が発生することはありません。
【矯正治療の費用相場】
特徴 | 全体矯正の場合の費用相場 | |
マウスピース矯正(インビザライン) | 世界でシェア率の高いマウスピース矯正ブランド。症例によって複数の治療プランが設定されている。 | 60〜100万円程度 |
マウスピース矯正(エミニナル矯正) | 矯正治療を専門とする歯科医師が担当するマウスピース矯正。最低2回の通院回数で治療を受けられる。 | 33〜80万円程度 |
ワイヤー矯正(表側矯正) | 歯の表面にブラケットと呼ばれる矯正装置を接着し、その上からワイヤーを通す治療。昔からある一般的な矯正治療。 | 70〜100万円程度 ※透明のブラケットや白いワイヤーを選択した場合、追加費用が発生することがある。 |
ワイヤー矯正(舌側矯正) | 歯の裏側にブラケットと呼ばれる矯正装置を接着し、矯正装置が見えにくいよう配慮された治療法。高度な治療技術が必要で難易度が高いため、費用も高く設定されている。 | 150〜170万円程度 |
ワイヤー矯正(ハーフリンガル矯正) | 見えやすい上顎は歯の裏側に矯正装置を接着し、見えづらい下顎は表側に矯正装置を接着する治療法。舌側矯正よりも費用を抑えながら、見た目に配慮した治療が可能。 | 120〜150万円程度 |
食事を楽しみたい人
マウスピース矯正は、飲食の時にマウスピースを外さなければなりません。そのため、食事の際に装置のことを気にしなくてもよいのです。
矯正を始める前と同じように食事を楽しむことができます。
一方で、ワイヤー矯正の場合は、装置にくっつきやすいガムやキャラメルは避けたほうがよいといわれています。その他にも、繊維質の多いほうれん草やレタスなどの食べ物は装置周りに絡まりやすいためストレスに感じることも少なくありません。
矯正治療は治療期間が長いため、食事でストレスを感じたくない方はマウスピース矯正を選択したほうがよいでしょう。
矯正があまりバレたくない人
矯正治療をしていることを周りの人に知られたくないという方もいらっしゃいます。接客業のような人と接する機会が多い方は、装置の見た目を気にされる方も多いでしょう。
マウスピース矯正であれば、透明のマウスピースを使用するため周りの人に矯正していることを気付かれにくい治療法です。
また、成人式や結婚式などの特別な撮影をする日であれば、自分で装置を簡単に外しておくことも可能です。
矯正していることを気付かれたくない方や、装置の見た目が気になる方はマウスピース矯正が適しています。
マウスピース矯正をおすすめしない人

マウスピース矯正を希望していてもおすすめできない方もいらっしゃいます。
以下のような方は、マウスピース矯正ではなくワイヤー矯正のほうが適しています。
- 付け忘れが不安な人
- マウスピース矯正ができないと診断された人
それぞれの理由を詳しく解説します。
付け忘れが不安な人
マウスピース矯正は1日に20〜22時間以上マウスピースを装着する必要があります。歯磨きと食事の時以外、ほぼ1日中マウスピースを装着することになります。そのため、マウスピースの付け忘れや紛失が心配な方は固定式のワイヤー矯正のほうが適しているでしょう。
外食や旅行が多い方は、出先でマウスピースの着脱を行うことになるため注意が必要です。マウスピースを外す時は紛失しないよう専用のケースに入れて保管する、食後は歯磨きをしてからマウスピースを装着するということが煩わしく感じる方もいらっしゃいます。
付け忘れが不安な方、着脱が面倒な方、紛失が心配な方は、マウスピース矯正をおすすめできません。
マウスピース矯正ができないと診断された人
「マウスピース矯正で歯並びを整えたい!」という方も、症例によってはマウスピース矯正での治療が難しいこともあります。
マウスピース矯正は歯を大きく移動させる症例や歯が捻れている症例が得意ではありません。そのため、マウスピース矯正での治療が難しいと判断されるとワイヤー矯正での治療を勧められることになるでしょう。
「マウスピース矯正では治療ができない」と診断された場合、ワイヤー矯正とマウスピース矯正を併用することも可能です。その場合、最初にワイヤー矯正で歯並びをある程度整えてから、マウスピース矯正で微調整します。
マウスピース矯正で治療がしたいと考えている方は、ワイヤー矯正とマウスピース矯正のどちらにも対応している治療経験が豊富な歯科医師を探すことをおすすめします。
まとめ
マウスピース矯正は誰にでも適している治療ではありません。マウスピース矯正が向いていない方やマウスピース矯正での治療が難しい歯並びの方もいらっしゃいます。
そのような方には歯科医師もマウスピース矯正をおすすめしないでしょう。
しかし、マウスピース矯正は装置が目立ちにくく、費用を抑えられる、通院回数が少ないなどのメリットもたくさんある治療です。
マウスピース矯正を検討されている方は、注意点を確認しながら、継続できるかどうかご自身のライフスタイルと照らし合わせてみるとよいでしょう。
「最低2回」の通院で治療が可能なマウスピース矯正もあります!
「エミニナル矯正」なら最低限の通院で治療ができるので、はじめの方のみ通院できれば場所にとらわれることなくマウスピース矯正を完結させられます。
総治療患者数2,000名以上の矯正治療を専門とした歯科医師(ドクター)が1人ひとりに合った治療計画を立て納得の仕上がりへ。
治療中は専属の医療チームが寄り添います。
エミニナル矯正では、マウスピース矯正が向いていない方には「無理に治療をお勧めしない」「他の治療方法を含めた適切な治療をご提案する」、経験豊富な歯科医師が「適切に治療判断する」ことを大切にしています。
矯正医院やセカンドオピニオン先をお探しの方は、お気軽にお問い合わせください。


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