「脱毛後にニキビのようなものができた」「毛包炎(毛嚢炎)って放っておいても大丈夫?」
脱毛後に吹き出物のようなものができてしまうことがあります。一見するとニキビに見えるため、ニキビ対策の薬を使う人もいますが、間違った処方で悪化してしまう場合もあります。
今回は、毛包炎(毛嚢炎)の原因や正しい対応策をご紹介していきます。
目次
毛包炎(毛嚢炎)とは?
画像引用:越智クリニック
毛包炎(もうほうえん)は毛穴の奥の毛根を包んでいる部分(毛包)に炎症が起こる症状で、
「黄色ブドウ球菌」や「表皮ブドウ球菌」といった皮膚常在菌の感染が主な原因です。
悪化して膿疱に硬く触れる「根」をもつようになると赤く腫れて痛みや圧痛を感じる「癤(せつ)」と呼ばれる状態になります。
また、癤(せつ)がさらに悪化すると強い痛みと発熱が出る「癰(よう)」と呼ばれる状態を引き起こします。
参考:日本医事新報社
毛包炎(毛嚢炎)は
どんな症状が起こりうる?
毛包炎の症状①赤みや腫れ
毛包炎は、毛包部の小さなひっかき傷や刺し傷、男性のひげそりでできたキズなどから皮膚に細菌が入り込んで炎症が起こります。
症状の一つとして、毛穴のある位置に合わせて赤みを帯び、膿をもった皮膚の盛り上がり(膿疱)がみられます。
腫れ部分を押すと軽い痛みを伴うことがあります。
参考:巣鴨千石皮膚科
毛包炎の症状②強い痛み
毛包炎が悪化すると、「せつ」と呼ばれる膿疱が硬いしこりのようになった状態になり、強い痛みや圧痛、熱感を伴います。
さらに悪化すると、複数の毛包に炎症が広がった「よう」と呼ばれる状態になり、さらに強い痛みや発熱、それに伴う体調不良などを引き起こすのです。
参考:巣鴨千石皮膚科
毛包炎ができやすい場所
毛包炎は毛穴があるところにはどこでもできますが、特に顔面や胸、ワキといった皮脂が出やすい部分や、首の後ろ、太もも、お尻といった擦れやすいところにできる傾向があります。
また、毛包炎は1つだけポツンとできることもあれば、複数できることも。
参考:フレイヤクリニック
毛包炎(毛嚢炎)になる原因は?
黄色ブドウ球菌と表皮ブドウ球菌が主な原因となる細菌で、これらの菌が皮膚に入り込んで毛包炎を引き起こします。
皮膚には常在菌という、常に皮膚の上で活動している菌が存在。
ブドウ球菌は皮膚にいる常在菌で、肌のバリア機能が保たれることによって、炎症が起こりやすい毛穴や皮膚の奥に行かないようになっています。
しかし、ムダ毛処理やレーザー脱毛などによって肌のバリア機能が乱れると、毛穴の中に菌が侵入するのです。
さらに、慢性的な皮膚病を持っていたり、人混みや空気の汚れた環境で過ごすことが多い方は、より毛包炎にかかりやすい傾向があります。
菌は衛生状態が良くない場所にいると繁殖しやすいため、毛包炎を防ぐためにも衛生的な環境を整えることが重要です。
参考:Clair Clinic
毛包炎(毛嚢炎)と
医療クリニックレーザー脱毛の関係
レーザー脱毛では、毛のメラニン色素に反応して熱を発するレーザーを使い、皮膚内部の発毛組織を破壊します。
そのため照射後は、レーザーの熱で皮膚がダメージを受け、バリア機能も低下。
この状態で一部の菌が繁殖・毛穴から感染すると、毛包炎が起こりやすくなります。
毛包炎を防ぐためにも、レーザー照射後のケアをしっかり行いましょう。
参考:フレイヤクリニック・ビューティースキンクリニック
毛包炎(毛嚢炎)になったときの対処法
対処法①毛包炎が軽症の場合
毛包炎が軽度の症状であれば、特に治療をしなくても自然に治ることが多いです。
市販薬を使ってホームケアをするほか、他の部位へ感染を広げないためにも、同じタオルを使わない、皮膚は清潔を保ってやさしく洗浄するなど、普段の生活に注意しましょう。
どうしても気になる場合は医療機関で受診すると、改善を促すことができりと思います。
参考:巣鴨千石皮ふ科
対処法②毛包炎が重症の場合
膿があり赤く熱をもっているなど、毛包炎が重症化している場合は自力での治癒は難しくなります。
医療機関で受診し、適切な処置を受けましょう。
皮膚を切開して膿を出したり、膿を排出したあとのくぼみを生理食塩水で洗浄し、膿が残らないように処置をしてもらえます。
早めの受診で悪化を防ぐことができるので、早めに医療機関に相談してくださいね。
参考:巣鴨千石皮ふ科
毛包炎(毛嚢炎)にならないための
予防方法3つ
予防法①保湿ケアを行う
保湿を怠ると、皮膚の角質や皮脂が減りバリア機能が低下してしまいます。
入浴や洗顔のあとは、化粧水や乳液、クリームなどでしっかりお肌を保湿しましょう。
保湿ケアをすることで、体から水分が蒸発するのを防ぐだけでなく、雑菌などの刺激からお肌を守ることができます。
予防法②皮膚を常に清潔にする
毛包炎予防には、皮膚は常に清潔にしておくことが重要です。
汗をかいたときは、シャワーを浴びる・すぐに着替える・皮脂が多いときは適度に拭きとるなど行い、雑菌の繁殖を抑えましょう。
デリケートゾーンは特に蒸れやすいため、締め付けにくく通気性のよい下着をつけることも効果がありますよ。
予防法③肌バリア機能が
弱っているときは刺激しない
体調不良のときや生理前など体の免疫機能が低下しているときは、肌が外部からの刺激にも弱くなっています。
弱っている肌にレーザー照射などの刺激を与えると、毛包炎につながるおそれがあるため、できるだけ避けるようにしましょう。
また、紫外線や摩擦なども肌に与えないよう注意が必要です。
調子が悪いときは無理せず十分な睡眠や栄養をとり、身体をしっかり休ませましょう。
参考:フレイヤクリニック
毛包炎に関するよくある質問
毛包炎は市販薬でも効果がありますか?
毛嚢炎に使用できる市販薬は実際に発売されており、それぞれの市販薬に主に配合されている成分は
・抗生物質:テトラサイクリン・オキシテトラサイクリン
・クロルヘキシジングルコン酸塩
などがあります。
市販薬によって薬剤の組み合わせにいくつか種類があり、ステロイドと抗生物質を配合した混合軟膏、消毒作用をもつ薬剤を配合したものなどもあります。
参考:第一三共ヘルスケア
毛包炎を放置するとどうなる?
基本的に毛嚢炎は自己治癒力で治せるものですが、放っておくと茶色く色素沈着してしまいます。
こうなるとホームケアでは回復しづらくかなり長引いてしまい、見た目にも辛いと思います。
毛包炎が疑われる場合は早めに医療機関を受診しましょう。
参考:Clair Clinic
毛包炎はうつる病気?
結論から言うと、毛嚢炎はうつりません。
毛嚢炎は、肌のバリア機能が低下し細菌が侵入することで起こることが原因です。
そのため他人にうつることはありません。
ただし、自分の肌の他の部位にうつることもあるため、自分自身が毛嚢炎を発症した際は注意しましょう。
参考:ルシアクリニック
毛包炎は頭皮にもできますか?
頭皮は他の部位の皮膚と比べて毛穴と皮脂腺が多くあり、髪の毛の影響で蒸れやすく十分に洗いにくいため雑菌が繁殖しやすい環境です。
そのため、頭皮の皮脂の分泌量の増加による毛穴詰まり、間違ったヘアケア、ヘルメットや帽子の着用などによって、頭皮の毛包炎を発生させやすくしてしまいます。
まとめ:毛包炎(毛嚢炎)は
早く対処するのがおすすめ
毛包炎は自然に治ることもありますが、早く治したい場合や範囲が大きい場合は医療機関の受診をおすすめします。
また、毛包炎は予防することができるため、記事の予防法を参考にしてみてください。
ニキビに似ているので放っておいてしまう人もいますが、少しでも違和感や不安な点があれば医師に相談してみてくださいね。
ただし、自己判断で市販薬を購入することは危険です。
毛包炎はニキビと似ているため、ニキビ用の市販薬を誤って使用してしまうことがあります。
そうすると間違った処方をしてしまうことになり、治るのが遅くなったり、症状を悪化させたりするケースも起こりうるのです。
医療機関を受診し、正しい診断と処方を受けるようにしましょう。